社会人になってからTOEICの勉強を始めたいけれど、仕事が忙しくてまとまった時間が取れない。そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実はTOEICで高スコアを取っている社会人の多くは、長時間の勉強ではなく、日々の隙間時間を上手に活用しています。通勤電車の中、昼休みの15分、寝る前の20分など、短い時間でも毎日続けることがスコアアップの近道です。
この記事では、忙しい社会人がTOEICのスコアを着実に伸ばすための具体的な勉強法を紹介します。参考書やアプリの選び方から、パート別の対策、学習スケジュールの組み方まで、実践的な内容をまとめました。
まず知っておきたいTOEICの基本情報
TOEIC Listening & Reading Testは、リスニング約45分間100問とリーディング75分間100問の合計200問で構成されています。スコアは10点から990点の範囲で、5点刻みで算出されます。2023年度の全受験者の平均スコアは612点でした。
受験料は2026年現在で7,810円(税込)です。過去1年以内に受験した方はリピート割引が適用され、6,710円で受けられます。試験は全国の会場で年に複数回実施されており、社会人でもスケジュールを合わせやすい日程が用意されています。
企業が昇進や海外赴任の基準として設定しているスコアは、一般的に600点から730点が多く、外資系企業では800点以上を求められることもあります。まずは自分の現在のレベルと目標スコアを明確にすることが、効率的な学習の第一歩です。
社会人が最初に揃えるべき3種類の教材
TOEICの教材は数多く出版されていますが、最低限揃えておきたいのは「単語帳」「テクニック本」「公式問題集」の3種類です。この3つがあれば、600点から700点台までは十分にカバーできます。
単語帳は「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」が定番です。TOEICに頻出する1,000語を厳選しており、通勤中にスマートフォンの音声と合わせて学習できるのが社会人にとって大きなメリットです。1日30語ずつ進めれば、約1か月で1周できます。
テクニック本は「はじめて受けるTOEIC L&Rテスト 全パート完全攻略」がおすすめです。各パートの出題傾向と解法のコツが簡潔にまとまっており、短時間で全体像を把握できます。公式問題集は「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」の最新版を選びましょう。本番と同じ形式の問題を解くことで、時間配分の感覚が身につきます。
隙間時間を活かすアプリ学習のすすめ
忙しい社会人にとって、スマートフォンアプリは強力な味方になります。代表的なTOEIC対策アプリとして「スタディサプリENGLISH TOEIC対策コース」と「abceed」の2つがあります。
スタディサプリは、カリスマ講師による動画解説が充実しており、独学が苦手な方や基礎から体系的に学びたい方に向いています。TOEIC730点以下の方が基礎固めをするのに適しています。1回の講義が短くまとまっているため、電車の中でも無理なく視聴できます。
一方のabceedは、AIが2万問以上の中から自分のレベルに合った問題を自動で出題してくれる点が特徴です。スコア予測機能もあり、学習の進捗を数値で確認できます。すでにTOEIC730点以上のスコアを持っていて、さらに上を目指したい方にはこちらが向いています。どちらも無料体験期間があるので、実際に使ってみて自分に合う方を選ぶのがよいでしょう。
リスニング対策は毎日の「ながら聴き」から
TOEICのリスニングセクションは約45分間で100問に解答します。Part 1の写真描写問題からPart 4の説明文問題まで、多様な形式に対応する必要がありますが、社会人の日常には英語を聴く機会を組み込みやすいタイミングがいくつもあります。
通勤時間にTOEICの公式問題集の音声を繰り返し聴くのが、もっとも手軽で効果的な方法です。最初は聞き流しでも構いません。何度も同じ音声を聴くうちに、聞き取れる単語やフレーズが増えていきます。慣れてきたら、聴いた英文を頭の中で日本語に訳さず、英語のまま理解する練習に切り替えましょう。
ポッドキャストやYouTubeの英語ニュースも良い教材になります。ただし、TOEIC対策としてはビジネス英語に近い内容を選ぶのがコツです。日常的に英語の音に触れる時間を増やすことが、リスニングスコアの底上げにつながります。
リーディング対策は時間配分がカギ
リーディングセクションは75分間で100問を解きます。多くの受験者が時間切れに悩むパートですが、攻略のカギは各パートへの時間配分を事前に決めておくことです。目安として、Part 5(短文穴埋め30問)に10分、Part 6(長文穴埋め16問)に10分、Part 7(読解問題54問)に55分を割り当てるとバランスが取れます。
Part 5とPart 6は文法と語彙の知識で解ける問題が多いため、瞬時に正解を選べるようになるまで繰り返し練習しましょう。金のフレーズで語彙を固めつつ、公式問題集のPart 5を何度も解くのが効果的です。1問あたり20秒以内で解けるようになれば、Part 7に十分な時間を残せます。
Part 7は長文読解ですが、すべての英文を丁寧に読む必要はありません。設問を先に読み、必要な情報だけを本文から探す「スキャニング」のテクニックを身につけると、解答スピードが格段に上がります。この練習は通勤中ではなく、自宅で落ち着いて取り組むのがよいでしょう。
社会人向け学習スケジュールの組み方
平日は1日30分から1時間、休日は2時間程度を目標に設定するのが現実的です。大切なのは毎日少しでも英語に触れる習慣をつくることで、週末にまとめて5時間やるよりも、平日30分ずつを毎日続けるほうが定着率は高くなります。
平日の朝は通勤時間を使ってリスニングの音声を聴き、昼休みに単語帳を10分間眺め、帰宅後にPart 5の問題を10問解く。これだけで1日40分ほどの学習時間が確保できます。週末にはまとまった時間を使って公式問題集の模試を1セット通しで解き、時間配分の感覚を養いましょう。
目標スコアまでの学習期間は、現在のスコアから100点アップするのに約200時間から300時間が必要とされています。1日1時間の学習を続ければ、半年から10か月ほどで達成できる計算です。焦らず、長期的な計画を立てて取り組むことが成功への道です。
モチベーションを維持するための工夫
社会人のTOEIC学習で一番の壁は、モチベーションの維持です。仕事で疲れた日にテキストを開くのは簡単なことではありません。そこで、いくつかの工夫を取り入れてみてください。
ひとつは、学習記録をつけることです。スタディサプリやabceedにはログ機能が搭載されているため、毎日の学習時間と正答率を振り返れます。数字で成長が見えると、続けようという気持ちが湧いてきます。もうひとつは、受験日を先に申し込んでしまうことです。7,810円の受験料を支払い済みにすることで、否応なしに勉強する理由ができます。
また、同じ目標を持つ仲間を見つけるのも有効です。社内のTOEIC勉強会やSNS上の学習コミュニティに参加すれば、情報交換ができるだけでなく、互いに刺激を受けながら学習を続けられます。ひとりで黙々と取り組むよりも、はるかに挫折しにくくなります。
TOEICのスコアは一朝一夕では上がりませんが、正しい教材を選び、毎日の生活の中に学習時間を組み込めば、社会人でも着実にスコアを伸ばせます。まずは今日から、通勤電車で金のフレーズを開くことから始めてみてください。
半年後の自分が「あのとき始めてよかった」と思えるよう、小さな一歩を踏み出すことが何よりも大切です。